jyoshimuda










※この二次小説は本編の大いなるネタバレを含みまくります。というかネタバレそのものです。

※まだweb版無職転生を読み終えてない方は、すぐに回れ右をしてください。

※なお、小説内のアレコレはワタクシ、(店`ω´)@てんちょっぷの妄想の産物である事が多々あります。

※あ?なんかこれ違くね?俺の○○はそうじゃねーし!とか言われましても困りますお客様!お客様!



※以上を踏まえて、どうぞお読みください。よければご感想を頂けると幸いです。





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こんにちは、ノルンです。

最近私には悩みがあります。それは……






「ノルン、今日は、その……またアレを」






……これです。私の旦那様、ルイジェルドさんの悪癖についてなんです。


本当に大好きで、大好きで、今も恋い焦がれている人なんですけど、コレだけはどうにも……。


はっ、当人の目の前でぼんやりと悩んでしまった。
見れば、ルイジェルドさんは困ったようにもじもじしている。
いつもクレバーなこの人が、こんな顔をするのは週に一度。
どうしても我慢が出来ないようです。


……まぁ、私も、アレは嫌いじゃないんですけど。


「……駄目だろうか。いや、しかし、うぅむ」


私が返事をしないので、しょんぼりしている。なんだか可愛い。


「うー?」


あらあら、お昼寝していた娘のルイシェリアまで起きてきちゃいました。
最近はよく歩くし、お喋りもするようになりました。


「おーしゃ、あーしゃ、う?」


私たちの雰囲気を察してか、不思議そうな顔でこてんと首を傾げています。

ん゛ん゛~~~~~っ!!

なんて可愛いらしい子なんでしょう!


あ、ちなみに「おーしゃ」は父様、「あーしゃ」は母様、と言ってるつもりのようです。


~~~~っ!!


うちの子、本当に可愛いでしょう!?


はぁん!もう!今すぐ抱き上げてそのマシュマロみたいなほっぺにキスをしたい!


「あぁ、ルイシェリア。起こしてしまったか」


……残念。先を越されました。


ルイジェルドさんが先にルイシェリアを抱き上げてしまいました。
そして、二人して綺麗な瞳で私をじっと見てきます。……卑怯ですよね?


ルイジェルドさんは逞しくも凛々しい、見惚れるほど端正で美しい顔立ち。
ルイシェリアは先述の通り、天使のような可愛さです。


そんな二人の視線に、私は毎日耐えているんです!これ、かなり辛いんですよね。


毎日、毎日、朝になるとルイジェルドさんの顔を見て「……しゅきぃ」と腰が抜けますし。
毎日、毎日、ルイシェリアを抱いたりご飯を食べさせる度に「……可愛い」とメロメロになりますし。


あっ……っと、こほん。


失礼しました。少し、自分の考えに埋没し過ぎたかもしれません。
再び意識をルイジェルドさんに向ければ、捨てられた子犬みたいな目になっていました。


「お前がどうしても嫌というなら、俺も我慢するのはやぶさかではない」


あまりにも私が何も言わないので、勝手に譲歩しだしました。
いや、眉間のシワが凄いですよね?
歯も凄い食いしばってますし。どれだけ我慢出来ないんですか。


「……ふぅ。仕方ないですね。準備します」


私がそう言うと、彼の顔がぱぁっと輝きました。
凄い喜んでいます。なんというか、何十年来の友人に久々に会う人みたいな?


「そうか!本当に感謝する」


本当に嬉しそう。そんなに我慢していたんですか……。んもぅ。
私が頬を膨らませていると、面映ゆいのか苦笑いをして頬をポリポリ指で掻いています。


「自分でも恥ずかしいとは思うのだが……どうにも我慢できん。


 どうしても欲してしまうのだ……

  
  ルーデウスの作ってくれたあのTKGを!
 



……そうです。


ルイジェルドさんが週に一度、どうしても我慢が出来なくなる事。
それは、卵かけご飯を食べたくなる事なんです。


病み上がりに兄が食べさせてくれた卵かけご飯が、とても美味しかったんだそうで。
炊き立てのご飯もさることながら、そこにかけた生卵と鬼水のコンビネーション?
香ばしい卵黄と鬼水の匂い、噛み締める程に甘くなるご飯の味を忘れられないのだとか。
確かに美味しいんですよね。私もあの時一緒に食べましたけど。でも、そこまでとは……。


「ままご?うーしぇもままご、ままご!」


抱っこされているルイシェリアが大喜びしています。
以前、ルイジェルドさんが戯れに一口食べさせたところ、気に入っちゃったんですよね。
パクっと口に含んだ瞬間「うまい!?」と言葉を発したんです。
初めてまともに喋った言葉が「うまい」なんですよ、うちの子……天才か!?


「そうかそうか、ルイシェリアも食べたいか!」

「ままご!ままご!」

「そうだろう、そうだろう!ハッハッハッハッ!」


二人してキャッキャッと小躍りして喜んでいます。ふふっ、似た者親子ですね。


「それじゃ、鶏飼いのレイジャードさんの所に行ってきますね。でも、ほどほどにしてくださいな?」


さすがに野性的なスペルド族でも、生卵を食べるという習慣は無いみたいです。
卵を分けて貰う時にいつも微妙な顔をされるんです。もう慣れましたけど。
そういえば兄と暮らしていた時は、アイシャが新鮮な卵を用意してましたっけ。


「ままご!ままご!」


ふふっ。ルイシェリアも大喜びですね。あらあら、可愛いですね。


「すまん。では、米は俺が炊いておこう」

「ままご!」

「はいはい……。あ、そっちの箱じゃなくて、白い箱ですよ。こぼさないでくださいね」








やれやれ。私の旦那様の悪癖にも困ったものです。

でも、この時ばかりは彼の心からの笑顔を見れるんですからね。

兄と、兄の悪食にも、少しくらい感謝しておきましょうか……。







          


                 ー終ー